――少し前に戻ってルイワリサイド。


「……おはよう」

「おっおっおっはっよう……」


ドッキドキのワリと、紙袋の中に(まあ念のため)チョコレート、そしてプリマリルイ以下略を引っさげたルイコ。

チョコならまだしも、ちくわにかまぼこ詰めたそれを渡すのにうってつけのセリフなんか、思い浮かぶはずもありません。


ワリは呼び出された理由もわからぬまま(だって2月9日だし)ここは自分から謝るとかなんとかするべきなのかとしどろもどろ。


(いつも4人でいた時は(はた迷惑なほど)うるさくて、にぎやかだったのに……2人になった途端、こんなに黙り込んでしまうなんて……っ)


ルイコは俯き、唇を噛み締めました。


(あたし……そう、不甲斐ないわっ……不甲斐ない……あたし、不甲斐ないわっ……)


……不甲斐ないって言葉、そんなに気に入ったんですか。

どうやらそのようで、ルイコは心の中で『不甲斐ない』を20回ほど繰り返しました。


(不甲斐ない……けど……)


ルイコは顔を上げ、妙な表情のワリを見据えました。
妙な表情をしたくなるのも当然です。ワリには心の声なんて聞こえるはずがないので、ただ首を左右に思いっきり振りながらぶつぶつ何かを呟いているルイコしか見えていないのですもの。


(あたしも女よ! 14年間のプライド、かまぼこ派がなによ! あたしはワリのことが……)


「ワリ!」


思い切って紙袋からラッピングしたプリマ以下略を出すルイコ。

その時です。例のキング・オブ・KY。


「ルイコぉぉぉっ――!」


またしてもこいつは親友の恋事情を引っ掻き回す気がしてなりません。