「いってー……マリ、どんだけ寝言うるせーんだよ。俺めっちゃ恥ずかしかったし!」


目の前で、ヨシ君が何事もなかったかのように言って、自分のおでこをさすっていました。


「えぇぇー! ごめん! 大丈夫?」


マリが赤くなったヨシのおでこに手を当てると、ヨシは真っ赤になってひっくり返ってしまいましたとさ。
やはりシャイボーイ。


「ヨっ……ヨシ君……?」


先ほどの現実か夢か宇宙なんか何なのかわからない哀しい出来事を思い出し、マリは涙目で恐る恐る声をかけます。


「あ、ご……ごめん。つーか、泣いてる? どうした? 嫌な夢でも見たのか?」


――やっぱり、優しい。ヨシ君。いつものヨシ君だ――


マリを覗き込む、少し赤い顔のヨシ君。
その真剣な眼差しにマリは心底ほっとしました。


「……うん。ちょっと。でも、もう大丈夫だよ!」

「寝言、いろいろ聞こえてたよ。こわキャラとかかわいくないとか富とか権力とか……だから、大体予想はつくけど……」


すげーなお前。


「……けど俺、そんなキャラでもかわいくなくても富も権力も無くても、マリのこと、好きでいられるから」

「ヨシ君……」


今度は嬉し泣き。
マリは涙をこらえきれませんでした。


でも……でもね。
ひとつわかっちゃったよ。

ヨシ君いわく、マリはかわいくないそうです。