数十分後、今もマイクはワリの手の中。


「ヨシくん、歌わないの?」

「ああ……い、や、うん……」


マリに対するヨシの返事、超適当。
なんだかまぶたが重そうですが……


とすっ


「ええええっ!?」


なんとヘタレの頭が、マリの肩にのっていました。


「ヨヨヨヨヨヨヨヨシくん!」


ビヨヨヨヨヨヨヨヨーン。て感じ。


「――すー……」

「寝ちゃった……」


なんやかんや疲れがたまっていたのか、ヨシはマリの肩の上でおやすみしてしまいました。


「そのままでいいじゃん。頑張ってたし」


と、優しくルイコ。


「そだね」


ヨシくんの寝顔が超近距離に。

ドッキドキで心臓バックバクかと思いきや……


「――すー……」

「……馬鹿っぷる」


自分の肩にのったヨシの頭に頭をのせて、マリは眠りにおちてしまいました。

ここの人たちはみんな、いかなる状況においても眠れるんです。マリの初デートの日が思い出されます。





「マリ――好きだよ……」


(夢かな――ヨシくんの声だー……幸せー……)


「よかったね、マリ」


寄り添う2人を見て微笑むルイコがいました。


この大音量でよく眠れたもんだというところですが、いつしか機械から流れる歌も、静かなバラードへと変わっていました。