「なあ、ルイっ……」

「おーい! ルイコー!」


せっかくのヨシ君の決心も虚しく、ワリの登場。


「げっ……な、何よ」

「俺さあ……別にマリのこと、好きじゃねえんだ」

「「ええっ!?」」

「ルイコの気い引きたかっただけなんだ。でもルイコ、全然妬いてくんねえし」

「そっ、そんなの……でも、別れ話始めたのは、ワリの方じゃない!」

「それも、あんま俺に興味無さそうだったルイコの、反応見たかっただけなんだ」


懺悔タイムのワリと、慌てに慌てているルイコ。

マリとヨシは空気を察し、先にテニスコートをそおっと出ていました。


「……つーわけで、俺はまだ、ルイコのことが好きだ。今でも、戻りたいって本気で思ってる」

「……そんな、いきなり……」

「返事は待つから!」


照れ隠しなのか、そう言うなりワリは猛ダッシュで出口へと向かいました。


「ワリっ……あら? 置手紙……?」


ワリのいたところに落ちていた1枚の紙には

『返事は一週間後、兄弟公園3時』

と、書かれていました。


まさかワリはこの場面に出くわすまで、常にこの紙をポケットに忍ばせていたのでしょうか。なんて健気な。


「勝手すぎじゃん……」


ルイコは微笑みを浮かべ、その小さな紙を、そっと綺麗に折りたたみました。