扉の方にひとつの影。 「…っ」 近付いてきた影は 私の腕を勢いよく掴んだ。 「やだっ、は、なし…」 さっきの恐怖がよみがえって、 満足に体も動かせない私の小さな抵抗。 あぁ、もう本当にダメだ。 そう思った直後に聞こえた声。 「っ!ミウ、俺だ」 聞き慣れたはずのその声は いつもより少し焦りが混じっているように感じた。 「…………オ、ニガミ?」