中学校についた。

(うわー、知らない人がいっぱい。)

それが正直な最初の感想だった。

(友達出来るかな。)

こんな感情、なんて久しぶりなんだろ
う。特に、人見知りって訳でもないけど
そんな不安が頭をよぎる。

そしたらもかが、

「あ、ちょっと不安そうな顔してる。
友達できるかなー?とか考えてたりして?」

私の頭のなかが見えてるのかと思うくら
いドンピシャ。

(やっぱ、こんな風に相手な気持ちを考え
られる子がモテるんだな。)

そう、もかは紛れもなく男子にモテるの
だ。小学校の頃も何回か告白されてるの
を私は知っている。

でも、もかは理想が高いみたいで、全員フラれている。

もかいわく、
好きじゃない人と付き合っても意味がない!

だそうだ。考えてみればそれはそうなん
だけど、私からしたら羨ましい。

だから、私も実は心のどこかでは
彼氏が欲しいなぁ、とは思ってたのか
も。

そんなことを考えながら、クラスがかか
れている表を見る。

一気に不安が私を襲う。

見なきゃいけない表の前で目をとじる。

(もかと離れたらどうしよう・・・。)

もはや、不安の塊になっている私は恐る
恐る目を開ける。

(えっ!ほんとに!?)

なんと、私たちは6クラスもあるなかで
同じクラスになれたのだ。

「やったね♪」

と、もかが私の耳元で囁く。

うんっ! と、私は満面の笑みで返す。

これでひとまずは安心。

また、楽しく話しながら下駄箱へ向か
う。私たちのクラスは1年5組だ。

靴を脱いでると、後ろから、

   ドンッ!

誰かがぶつかってきた。

なんだよっ、と思いながら後ろを振り向

くと、

「あっ、わりぃ。ごめんな。」

と、知らない男子が私に言った。

そのまま通りすぎていったけど、男子慣
れしてない私は結構ドキドキしてた。

まず、1つの理由はいきなりでちょっと
びっくりしたということ。

もう1つは。



――めちゃくちゃカッコ良かったのだ。

王子様レベルで。身長も高くて、

とにかくカッコいい。

(誰だろ。なんて名前かな。)

過ぎ去った下駄箱を見る限り、私とクラ
スが一緒っぽい。

(なんか、気になるな・・・。)


なんて、考えてたら、

「沙羅ちゃーん?どーしたの?」



・・・・―――ハッ。

もかに話しかけられるまでボーッとして
たなんて。まさかの中学校入ってこんな
初期段階で出会っちゃったかも。




私の運命の人。



って、どーした、私。

かなり重症の妄想ワールド入っちゃって
るじゃん。相手の名前も知らないのに。

ちゃんとしろ!私!

深呼吸をしてからもかに話しかける。

「ううん!なんでもなーい!よし、教室

に行こう!」

すると、もかが、

「じゃ、顔が赤らんでるのはなんでか
な?」


やっぱり、もかの勘は鋭すぎる。