「じゃ、行ってきまーす!」

家族全員に聞こえるような大きな声で
言った。

(なんたって、今日から私は中学生!)

そう思うといつもの見慣れているはずの
景色も新鮮に感じた。

すると、後ろから

「おっはよぉーーう!」

こんな超元気の良い挨拶をしてくるのは
私が思い当たる限り1人しかいない。

ほら、やっぱりね。

この子は私の幼稚園からの親友、
石原萌香(いしはらもか)

私も元気の良い挨拶返し。

「もか、おはよー!今日から中学楽しみだ
ねぇー!」

「私も楽しみっ!早く行こー!」

なんだかんだ、朝からテンション高いん
だよね、私たち。

楽しく話しながら登校してたら、
もかが何気なく、

「そーだ!私さ、中学生になったらさ、
彼氏が欲しいなぁーって思ってたんだよ
ね。出来るかなー。」

冗談半分みたいな感じでもかは言った。

(あー、彼氏かぁ。そんなの全然考えてな
かったなぁ。)

「もぅさ、めちゃカッコいい人がいたら
いいのになー♡」

あぁ、もかが妄想モードに突入だ。

もかはロマンチストってゆーか、
なんか乙女なんだよね。ま、そーゆー
のが、もかのかわいいトコなんだけど。

私はというと、彼氏は普通。
てか、いまのところ好きな人もいない。

確かに欲しいなぁーは思うけど、
出来ないだろうし。モテキャラとかでも
全っ然ないし。友情の方が大切だし。

てなわけで、その時は普通に聞いてたけ
ど、このあと私の気持ちが大きく変わる
とは私も思わなかったよ。

まさか、初日からこんなに色んな事が起
こるなんて・・・。