ばかかよ。自分にそう言いたい。ただの嫉妬で冷たく当たって、傷つけて、距離をおかれて。
一体何がしたいのか、自分勝手で、でも、ただお前のそばにいたくて。
恋人なんて贅沢言わないから……友達じゃあ、
いられないか。
一週間前、
「カラオケ楽しかったよ!ありがとね!」
「俺も楽しかったから、またいこうな」
「うん!あ、純佳!おはよー!」
「皐月、大地。おはよ」
「彼氏は」
「遅刻」
「珍しい!」
「優男の癖に」
「大地、いいすぎー」
談笑しながら教室に入る。爆笑してるさつきは、大地の黒い闇に気づいていなかった。
「次なに~」
「国語、早く準備しないと先生ぞ?」
「うぇぇぇ……大地ー準備してー」
「何言ってんだばーか」
「いたーい!なにすんのさー」
「初夏だからってだれすぎ。購買でジュースおごってやるから動け」
「まじ!?やったああああ!!!」
「うるさい」
「さーせん」
ガラッ
「席につけよー。授業始めるぞー」
「うわ、やべっ!」
…………あー、かわいいなぁ。
口では暴言吐いたりするけど、心の声は真逆で、そのまま寝ればいい寝顔見たい、とかなんなら膝枕してやりたい、いやむしろしてほしい……。何て言えないから。好きな子をいじめるのとまったく同じ心理であいつを構っている。
それに気づかないのはあいつだけ。


