雨-amagoi-恋

「あれー?藍那ちゃんじゃーん」


教室の入り口の前で後ろから


肩を掴まれた。


「た、橘さん・・・」


橘美由紀は、私のクラスで


1番お金持ち。だから権力がある。


「校庭から上に向かって叫ぶなんて


派手なことしてくれたよね。 」


怖くて何も言えなかった。


橘さんが拳を握る。


殴られる・・・。そう思った、その時。


ガラッ


「それ、俺の奴だから傷つけんなよ」


って言って唯斗が橘さんの


手首を掴んで力をものすごく込めた。


「いっ・・・痛っ・・・」


「ゆ、唯斗!私 大丈夫だから!やめて」


私はすぐに唯斗を止めた。


唯斗は私の手を握りしめて、


「次やったら覚えとけよ」


と言って私を教室に入れた。






その日1日、


私はドキドキが止まらなかった。


唯斗と目が合う度に胸が高鳴る。


授業が全て終わったのも


私は気づかなかった。


「藍那ちゃんホームルーム終わったよ」


隣の席の真希ちゃんが教えてくれた。


真希ちゃんがいなかったら、


待ち合わせに遅れているところだ。


「ありがと、真希ちゃん!」


そう言って急いで教室を出た。


校門に着いても唯斗はいなかった。


教室にまだいたのかな?


気づかなかった私、ばか。なんて


思っていたらスマホがなった。


〝 学校近くのマックにいます。 〟


なんだ、移動しちゃったのか。


そう思って移動する準備をしたら、


雨が降ってきた。


私は一応下駄箱から傘を持って行った。