「あら、うちの子って積極的なのね」
「和也が消極的だから丁度いいよ」
……この2人…面白がってる
「和也、今夜は帰ってこなくてもいいよ」
なんだか、だんだん腹が立ってきた
「ま、なるようになるでしょ」
「今夜はお赤飯?」
好き勝手な事ばかり言いやがって
「そんなんじゃない!」
「和也くん?」
「オレと千夏はそんなんじゃない!!」
この場から離れよう。冷静になろう
「千夏、いこ」
…………どした?
下向いて動かない
「私たちは退散しましょ」なんて言葉が後ろから聞こえたけど、見ないで放っておいた
電車がホームにやってきた
「千夏、どした?」と左手を掴んだけれど拒否された
本当にどうした?
そのまま下を向いたまま電車に乗ろうしたから思わず肩を掴んだ
…………………え…………
「……帰るね」
無情にも電車のドアは閉まる
千夏は電車に乗って行ってしまって
オレはホームにいたままで
動けなかった
だって
だって
千夏が
ーーーーーーー泣いてたんだ

