ある男子高校生の恋愛事情



「ちょっと、今から買いに行こう」

「ええ?いいよ」


「着てほしいんだよ!」

「いいってば」


「オレが買うから、だから着て」

「………そんなに?」


お願いですからー


「浴衣も着てくれない……ワンピースも着てくれない……」

「…………………」


「千夏がお願いを聞いてくれない………」

「…………………」


「見たいのに……絶対にかわいいのに……」

「…………………」

「ジェラートも並んだのに……
宿題も手伝ってるのに……」

「……分かったよ。着るよ」


パアアア!

「ほんとに!?」

「うん…カズくん、根に持つし、いいよ」


よっしゃ!!

そうと決まれば!気の変わらないうちに!



――

「この店なんかどうだ?」

「んー。いいよー」


物色開始だっ


「コレなんかどうだ?」

「好きなデザインじゃない」


「じゃあ、コレは?」

「色がイマイチ」

端からワンピースを見つけては
千夏の所に持っていくがなかなかオッケーが出ない


「コレでどうだ!」

「…ちょっと試着してくる」

よしっ!




早く出て来ないかな~
早く見たいな~


ワクワク


シャッとカーテンが開いた



…………いい!!
すごくいいです!!


甘過ぎず、露出控えめ、
なのに妙に男心をくすぐるこの感じ


クリティカルヒット!!


店員はどこだ!?

「すみません。これ、着て帰ります」

「ええ?本気で言ってるの!?」



「もちろんだ」