ーーー
「洋服とか見なくていいのか?」
「ちょいちょいお店の前を通りながら見てるよ」
そういや
「千夏ってあんまりスカート履かないよな」
「嫌いじゃないけど、あまり買わないなあ」
そうだ。是非ともやって欲しいことがあったんだ
「ワンピース買いなよ」
「なんで?」
「男のロマンだからだ」
「またそれ?」
そう。風に揺れるスカート
ただのスカートじゃダメなんだ
ワンピースだからいいんだ
スカートが風でめくれるのを期待しているヤツ。
甘い。甘いぞ
逆なんだ
めくれそうなスカートを押さえるのがいいんだよ
これをワンピースでやると、
どんなことが起こるかって?
体のラインが分かるのだっ
くびれとか?お尻のラインとか?
角度によって見え方が違うのが、これまたいいんだ
あの見えそうで見えない感じ
“ワンピース”と“風”がコラボしたとき
その時こそがミラクル
これを是非とも千夏にやっていただきたい
世の中に妄想検定があればオレは間違いなく1級の実力だと思う
合格する自信がある
しかし、妄想よりもやっぱりリアルで見てみたい!!
妄想によりリアルへの期待感が膨れ上がり
リアルへの喪失感や虚脱感を妄想で補う
リアルと妄想は表裏一体
切っても切れない関係なんだ
妄想をバカにする人も少なくない
しかし、それは大きな間違いだ
なぜならば
この世にある、すべての
漫画、アニメ、ドラマ、小説、映画……
これらは妄想の産物
妄想が消えれば娯楽が消える
みんなだって見るだろう?
だから、三次元から二次元にいく人を責めないでほしい
“リアルはクソゲー”と誰かが言っていた
確かにそうかもしれない
現実から逃げたくなることなんか、しょっちゅうだ
そんな時こそ、そんな時だからこそ
妄想するんだよ
漫画家、小説家、脚本家、映画監督…
カッコいい呼び名だが
オレに言わせれば、全員が妄想家!!
だからね、
そんな冷たい目で見ないでほしい
哀れむような目をしないでほしい
理解してくれとは言わない
だが邪険に扱わないでほしい
妄想は大事なのだっっ!
人間は忘れることの出来る動物だという
だが、妄想できる動物であることも忘れないでほしい

