ある男子高校生の恋愛事情


………………

…………もう、いいです…


「…行こうか」


ガックリだ


今日という日をどれだけ楽しみにしてきたか

中学生の時はクラスのみんなと一緒で

小学生の時は親と一緒で


今日はオレの1つの夢が叶う日だったのに




まあ、ね、一緒に行けるだけでも
良しとしないといけないんだけど


分かってるんだけど

つい、色々と妄想して

期待過剰になっていた



自転車を漕げばチラホラと夏祭りに向かう人の姿が見えてきた


「着いたぞ」



混んでるからいつもより少し遠い場所に自転車を止めた


―コテ

ん?


見れば近くで小学生が転んでる
大丈夫か?と思ったら
すぐに起き上がって駆け出した


転んでた浴衣の女の子は『待ってー』と言いながら
走り去っていった


元気だなあ


「カズくん、いこ」

「うん」