苺なふたり





 それに、二人で苺食べたしね。

 ふふふっ。

 私と功司が初めて一緒にショートケーキを食べたのは付き合いだしてすぐの頃だ。

 その時、

『大切なものは、他人にかっさらわれないように真っ先に手に入れないとな』

 そう言って、ショートケーキの上の苺を一口で食べた功司につられて、私も真っ先に食べた。

 それまでの私は、最後まで苺をとっておいて、まずはスポンジ部分を食べていた。

 大好きな苺は最後の最後にゆーっくりと味わって食べることが多いんだけどな。

 二人でケーキを食べ終わったあと、そう言って笑う私に。

『だから、信吾を亜季にかっさらわれるんだよ』

 それまで聞いた中で一番真面目で低い声で言った。