苺なふたり





「ん。これで俺たちの幸せは確定だな。で、これ食べたら幸せづくりの打ち合わせだな。
 何といっても今日は衣装を試着できるんだから楽しみだな」
「そうだね。功司のタキシード姿、想像するだけでにやけちゃうよ〜」
「俺の衣装より、百花のドレス一式だろ?白いのと赤いのだっけ?ほんと、ショートケーキが好きだな」
「だってさあ。やっぱりショートケーキでしょ?」
「確かに、俺たちの大好物だもんな」

 私に負けないほどの甘党を自称する功司は、目の前のケーキをぱくりと平らげると、満足げに一息つき、コーヒーも飲みほして席を立った。

 時計を見れば、約束の時間15分前だ。

 んー、武者震い?いや、違う違う、緊張?それも違うんだけど。

 レジへと向かう功司の後をついて歩きながら、力が入らず震えを感じる足に気づいた。

 7センチほどのピンヒールが、カーペットに絡まって歩きにくい。

 でもきっと、この震えは別の理由からくるものに違いない。

 嬉しすぎる時にも、人間は震えるのかなあ。

 そう言えば、功司に告白をした後も足元が震えて教室までたどり着くのが大変だったな。

 あの時はたとえクラスが分かれても隣にいられる権利を獲得できた嬉しさでいっぱいになって、歩けなくなったんだ。

 功司にもらった最高の幸せの重みに耐えながら歩くのは大変だった。

 そんな過去を振り返れば、今私の足がプルプル震えているのもきっと、幸せすぎて仕方がないからだ。

 そうに違いない。