ヴーヴー。


ん?また電話?


急いでるときに限ってこれだから。


でも無視は出来ないんだよね。


秘書の可能性大だし。


まぁ、電話してくる相手は限られてる。


学校にいる間にかけてくるなんて、秘書の秋月しかいない。


放置していた携帯を取り、通話ボタンを押す。


「秋月?お父さんから聞いていると思うけど、今学校なの。帰ってからじゃダメ?」


秋月と思っていつもの口調で言う。


いつものように〝そうだったんですか⁉︎用件は後でも大丈夫なものです!〟
って言うと思っていた。


だけど返ってきたものは、予想とは違うものだった。


『秋月?…誰だ、それ』


耳元から聞こえてくる高くもなく、低くもない声。


秋月の声じゃない…っ。


この声は私が一番聞き慣れている声だっ。