「誰の許可を得てこいつに手ぇ出してんだ?」


「はっ?誰だてめぇ!」


「あ…っ」


黒色の、狼と月が描かれたパーカーを着た〝少年〟は、尻もちついている少年に話しかける。


男も月影と気づいたのか、ニヤリと顔を歪めた。


男を一瞥し、月影は少年の元へと歩み寄った。


「その意気込み、俺は高く評価する。…が、こういう時は俺を呼べ。1人で何とかしようと思うな」


「っはい!」


涙を溜めて返事をする少年の頭を撫で、男へと視線を向ける。


その視線は人をも殺せるくらいに鋭かった。


「お前が月影か。意外と細いんだな。本当にケンカ強いのか?」


「なっ!この人はっ!」


「いいから」


口に人差し指をあて、静かにと言う。