「そいつはいい。てか、お前は史音の手伝いに行け」


〝雄吾はもう手伝いに行ってるぞ〟という意味を込めて、禅を睨む。


「わ、悪かったって!じゃ、そいつのことは任せんでっ!」


早口でそれだけ言うと、すっ飛んで行ってしまった。


はぁ…。


さてと、こっからどうするか。


…昔、瑠依の〝姉〟だった時の俺はどんな感じだったっけ。


少なくとも男口調ではなかった。


もう思い出せないほど、昔のことなんだ。


「ごほんっ。…瑠依くん、大丈夫?」


「依亜先輩…」


ゆらゆらと揺れている瞳。


そりゃあそうか。


仲間を目の前で倒されたんだし。


それでもまだ、名前で呼んでくれる瑠依に喜んでしまう。


「ん、怪我はない?」


こくんと頷く瑠依に安心する。


禅は荒っぽいからね〜。


根はいい奴なんだけど。