「俺はね、2つの名を持っているんだよ。夕凪は表の名、そして榎本は…裏の名」


「裏…っ?」


「そう。そしてこの者たちは俺の組の者。つまり榎本組」


ここまで言えば気づくだろう。


現に向こうさんの顔は青ざめている。


もちろん、その後ろにいる組も。


当然だ、表でも裏でも榎本組は結構知られてるし。


知らない方がおかしいんだ。


「というわけだから、族は史音に任せるから」


「いいけど、口調。戻ってんぞ」


その言葉にニッと口の端をあげる。


「いいんだよ。こっちの方が気分も上がるじゃん?」


「まぁな。やっと月影になったって感じだよ」


どういう意味だよ。


そんな意味を込めて史音を睨む。