本気は出してない。


出てて30%くらいだろう。


だけどこの男にはそれくらいがちょうどいい。


私が本気を出すほどでもないし。


それに、本気出すの禁止されてるからな〜。


「そこの少年、今のうちに早く逃げて」


怯えて涙を流す男の子に優しく微笑む。


もう大丈夫。


そんな意味を込めて。


「っ…あ、ありがとうっ!!」


少年はお礼を言うと、猛ダッシュでその場を後にした。


これでいいんだ。


お礼を言えるあの子には、まだ明るい未来がある。