スキ×キライ=スキ?

「行こっか」

会長が横に立って、青に変わった信号を一緒に歩き出す。
目の先に会長の肩があった。
とも太より背が高い。
なんか、顔を見辛くて足元に視線を落とす。

後ろで、真姫のローファーと、とも太のスニーカーが並んだのが見えた。

「美風ちゃんのクラスは、マネキン決まった?」

トゲのように、言葉が心に刺さった気がした。
会長はなにもしらないし、他意もない。
ただの話題で言ったのに、鼻にツンとしたものを感じた。

「いぇ。まだ、何も」

俯いたまま、小さく頭を振る。
後ろで「ハハッ」と、とも太の笑い声が聞こえた。

なに、話してるんだろう。真姫となら、話すんだ。

「まじで?笑える。ハハッ」

久しぶりに近くで聞く声と笑い声だった。
目頭が熱くなる。
隣で話してる会長の声じゃなく、後ろのとも太の声に神経が集中していた。