「読んで字のごとく!ねがいかなうはこだ。どんな願い事でも叶えてやる」

再びわぁっと歓声があがった。

「と、言いたいところなんだけど。金銭的なものや、プライバシーの問題もあるからなぁ」

「えー」

「本気で本気で本気で願って、でも自分じゃこれ以上どうしようもなくなった時。賭けてみないか? なぁに。神様なんて存在不明なもんにじゃない。俺様に、だ。賭ける価値、あるだろ?」

マイクの台に両手をついて
前のりになって
ニカッと笑って
ウインク。

美風の顔が笑みでいっぱいになった。
気持ちが高ぶって、とも太の裾を握る手に力が入ったまま、ステージを見上げていた。