「だめだぁー強い、死ぬ。もう無理だぁー初敗北か?」
「...まだいける、天空に敗北の二文字は存在しない...」
「妹よどんなにそう言っても、人類には限界というものが...」
「天言ってた、人類なめんなよって」
「うっ、兄はその記憶力に憧れるよ...でもな、人間には限界があるんだよ。おおおおおー死ぬぅぅぅ!おらぁぁ、ちょ、くぅさん、なんでもいいからキュアして、キュア」
「ん、」
そのあと、兄妹はパソコンのキーボードを打ち続けた。
天(てん)、兄.18歳。ヒキニート。相手の感情を見抜くのは人間離れなみ。無職。コミュ障害。ジーパンTシャツ。そしてボサボサ黒髪の青年。
空(くう)、妹.16歳。不登校。友達なし。いじめられっこ。極度の人間不信、兄しか信用しない。兄の天とは、髪の色は、対照的に雪のように白い。服はショーパンと天があげた、もこもこうさ耳パーカー。気に入っているらしい。
これはそんな兄妹の二人が、異世界に取り込まれ、異常な生活を送っていくお話かなぁ?

「ふうううぅぅぅぅ。終わった!勝った!」
「全然強くなかったよ。天の大げさ。」
「いやぁ、イカサマしていたからこう、パニクったというか...はい、強くなかったです。」
妹の空は「マジかよダサっ」とでも言いたげな目でこちらをジトーっと見てくる。綺麗な青い瞳は本当に吸い込まれそうになる。俺たちは世間からののけ者だ。
「天」
「ん、?うぎゃぁぁぁぁぁぁ!いでぇ。」
俺はそんな風に考え事をしていたときに妹に呼ばれたからつむっていた目を開けたとたん、俺の顔の目の前にはゴキブリを持っている空の姿があった。
空は、とっさに後ろに逃げて本棚にぶつかり本が直撃した兄、俺の事を見て爆笑している。
「ぷぷ、天、これ、偽物...ぷぷ、あはは、ダサッ、ぷ..」
「な、偽物!お前それどこから出して来たんだよそんなリアルな。てか、俺がゴキブリ無理なの知ってるだろう」
そう、俺は小さい頃にゴキブリがシャツに入って...うっ、思い出すのはやめておこう。俺はリベンジと思い、ポッケからおもちゃのカエルを出し、空に投げた。空は最初はそれがなんなのか分からなかったのだろう、リアルなそのカエルのおもちゃを手に取り見て、それが何か認識したとたん、
「きゃぁぁぁぁ!かえる!やだ!天、ごめんね!お願い取って!」
「ザマーミロ、しかえしだ。ばか。」
「な、もしかして、おもちゃ?このぉ!」
それを言った後、空は俺に乗っかって来た。
「天の意地悪!」
「それ、お前が言うか?てか、おりろよ。」
決して俺はシスコンではありません、これは空は可愛い過ぎるのがしょうがないのです。こんな可愛い生き物どこ探してもいないでしょう。いえいえ、シスコンではありません。はい。決してシスコンではないです、断じて。
「あっ、天今嫌らしい事考えてるでしょう。顔に書いてあります!」
「な、考えてねーよ、てか、なんでお前に対してやらしい事考えねーといけねーんだよ。いくら血がつながってなくても兄妹だぞ。」
「ふーん、それ...
血がつながってないから、くぅは気をつけてるんじゃん。天が変な事して来ないように。」
「するかっ!妹に対して!」
「ふーん、精々頑張ってね、くぅ、可愛いから、思わずってのはダメだよ…」
「おいおい、自分で可愛いとか、自意識過剰過ぎるだろ…」
…うん、可愛い。確かにお前は可愛いぞ空!シスコンではありません!
「ぷぷぷ、天、面白い!」
「あはは、なんだよ、お前もな!」
俺ら二人は、笑った、何かが面白かったんだろう。いや、こいつといると面白い。
//コンコン//
「天、空?いるの?」
「…」
俺と空は、顔を見合った。俺らは黙る、自分の母さんも無視する。
【お母さんだよね、】
と空が口パクをする。だか、二人とも音は出さない、無言。静かに。
【ああ、だな】
と俺は言い返す。

-空のPOV-
空たちは世間でいうひきこもり、天に至っては引ヒキニート。世間からはぶれた者たち。
そう、今来たのはお母さん、空の知っている唯一の血のつながっている人。でも、血のつながりなど関係ないのだ。血のつながりなんて、何も意味がない。人生はゲーム。笑えるほどのクソゲー。目的もなく、地球というエリアで、競い合う。エンドロールが見えるのは死んでから。

人の心はわかんない。心なんて読めない。

天才すぎても、おいて行かれる。異常なものを見たかの様な目で空を見て、笑う、静かに、そして皆こう言う。

                  『バケモノ』

とね。

だからといって天の様に人の顔色をうかがいすぎても、おいて行かれる。人のために自分を下げ。顔色をうかがい、それ次第に自分の感情を決める。本当の感情を懲らしめて。でも、読めすぎたら、避ける、静かに、そして皆こう思う。

                  『気持ち悪い』

とね。
そう、それが空たち、
                   『天空』

天と空、気持ち悪いとバケモノ。そう、天空は気持ち悪いバケモノ。
ゲーム内では、皆、天空に挑む、そして空達は勝たないといけない。そう、一つぐらいは自分たちの「居場所」が欲しいから。皆を絶望させないため。

空は顔をうつむけた。それにきずいた天は、空に近寄り、抱きしめた、「大丈夫だ」と、呪文を唱えるように。

「天、空?いるんでしょ。お願い出て来て。特に空、お願い学校へ行って。」
学校は楽しいはずだった。小学生にしては、頭が良すぎた私は、周りからは避けられ、飛び級したら、先輩達からは避けられ、中学に上がってからはもう地獄の日々だった。でも、お母さんのため、義務教育までは我慢した。でも、お母さんは勝手に高校も決めていて...
疲れる日々かと思うともうだめで、同時に就職活動がうまく行かない天と一緒にオンラインゲームをしだして、最初は休むのは少しだった、だが次第に学校がきつくなり、ひきこもりになった。
そんな地獄に戻れと言われて行く人なんているのだろうか...
「はぁ〜、わかったわ、学校は行かなくていい、就職もしなくていい。だからお願い、出て来て。」
私たちは出ない。私は天のお父さんが嫌いだ、その人のせいでお母さんが私の実のお父さんをおいて行ったのだと思うから、天も同じ理由で私のお母さんが嫌いだ。私は私のお母さんの事もちょっぴり嫌い。自分勝手だから。
でも、天は大好き!ちょっと、意地悪だけど、優しいし。いっつも私のためにいてくれるから。そして、私の全てを受け止めてくれる、唯一の人。
「はぁ〜、わかったわ。朝ご飯ここに置いておくわよ。食べといてね。」
「まだ、でねーのか?」
私はドアを睨んだ。お父さん(あいつ)だ。
「ええ。」
「そっか、天、空、父さん会社行くからな。いってきます。」
バタバタバタという音と一緒に二人は下に行った。
『ふわぁぁ〜ビビったぁ。』
私と天は大きな息を吐き出して言った。笑いながら。
「ご飯とろうか?」
「そうだな、最近全然食べてねーから原減ったぁ。」
私はぎぃ〜という音をたてるドアを開け、お母さんが作ってくれたあったかいハンバーグを目の前にしぐぅぅとお腹が鳴った。素早くとって部屋の中に入り、すぐドアを閉めた。
「くぅの好きなハンバーグだな、今日は。」
私は二回うなずき、カップラーメンの数を見た、3個。
「徹夜三日後の、ちゃんとしたご飯...」
「それ言うか。ハハハ。眠いな。」
私はまた二回うなずいた。でかい、おいしいハンバーグを食べ、プレートをドアの前にまた置くと、天と一緒にベッドに入り、眠りに入ろうとした。
「なぁ、くぅ?」
「ん?」
「ずっと、一緒だよな。裏切らず。」
「絶望させず」
「悲しませず」
「ずっと一緒だよぉ。ね天。」
天と空は唱えるように言った。なぜか胸騒ぎがしたが、眠気には勝てず、まぶたを閉じ深い眠りについた。