「よかった…。
ごめんね、もうあんなこと想わない。」


「ああ。」


私たちはしばらく抱き合ったままだった。


「梨穏…。」


名前を呼ばれ、ふっと顔をあげると、唇に柔らかいものが触れた。

それが藤咲くんの唇だと分かるのにそんなに時間はかからなかった。