神様のおもちゃ箱

「健吾、朝の女の人、誰!?」

「…望乃の知らない人」

「そうじゃなくて!何してたの?付き合ってるの?何で言わないの?」


質問攻めを受け、俺は完全にお手上げだ。


ああ、

面倒くせーーーーー

って叫びたい。


逃げ出したいけど、望乃はぐいぐいと身を乗り出し、引く気配すら見せない。


「ねぇ!」

「あのな、望乃…。
人には知られたくないことの一つや二つあるって学校で習ったろ?ほんとに話したくないんだよ。でも望乃が思ってるような事は、何一つないから。

な。以上」


本当に何一つなかったんだから、嘘はついてない。

かなり突っぱねたと思ったが、望乃はまだ引き下がらない。


なんせ、嵐のような女だ。


「何よ、以上って!ちゃんと話して!ね~ってばー!」


つかまれた腕が、ぶらぶら揺れる。

さすがの俺も苛々してきた。思わず眉間にしわを寄せ、目を閉じる。



“彼女怒ってたでしょう。あっ私、弁解しようか”


“私ね、こういうの大好きなんだよね。ハガキや封筒で応募する時、すごい楽しいの。

これでもらえるおもちゃ箱ね、すっごい可愛いんだよ。銀の箱の方はね…”



由紀子さん、楽しそうな顔してたなぁ。

あの後、どうしたかな。


“失礼します”


冷たかったかな、あの言い方。


「ちょっと、健吾!?」