イジワルなキミの腕の中で



事前に航希が調べておいてくれたレンガ調の可愛いお店の中で、私達は向かい合って座っている。



「えっと……!あのね」



頑張れ、私。


頑張って伝えなきゃ始まらない。


思っていることを、ちゃんと伝えなきゃ。



航希は黙ったまま、そんな私の声に耳を傾けようとしてくれた。



手のひらをギュッと握り締めて覚悟を決める。


頑張れ、ほら。


言うんだ、私!



「まだ……先に進むのは怖いんだけど。航希は他の誰とも違う特別な存在で……大好きな人だから、手とか、繋ぎたいっていうか……。でもその先はもう少し待ってほしいんだけど……!」



うまく言えなくてグダグダになった。



あー、どうしよう。

言葉がまとまらない。



「とにかくっ!手を繋いだり……キ、キスとか……したいんだけど、ダメかな?」



顔に火が付いたみたいにボッと赤くなった。


女の子からそんなことを言うのは、男の人にとったらどう思うんだろう。


でも、これが私の本音。


後悔はしていない。