イジワルなキミの腕の中で



「ご、ごめん」



低くなったその声に、言い訳をすることは出来なかった。



「敬語使われる度に壁感じんだけど。それって、まだ俺に心を開いてねぇってこと?」



「そ、そんなことないよ。ただ、やっぱり先輩だし……!」



まだ慣れないから……っていうのは、ただの言い訳かな。



他に何も言えなくて黙り込む。



先輩はそんな私を突き刺すように真っ直ぐ見ていた。



「先輩って呼ばれるのも気に入らねぇ。俺は光流や智沙と同類なんだ?」



鋭い瞳と怒ったような声にドクンと胸が鳴る。



なんでそこまで怒るのか、私にはわからなかった。



「敬語使うなっていうより、な、名前で呼ぶ方が難しい気がするんだけど……」



央太のことは普通に呼べるのに、やっぱりそれも“先輩”だからなのかな。