ごんっ、と。

音がして、俺はベッドの中で薄目を開ける。

ごんっ。

また音がした。

見れば。

「んっ!んーっ!」

デジタルテレビの画面の向こう側で、貞子が力んでいた。

「何このテレビッ!建て付け悪ぅぅぅいっ!」

まるでボロアパートの開かない扉みたいな言い草だ。

「どうしてこんなに外に出にくいのっ?んっ!んっ!んーっ!」

散々力んだ挙句。