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ジャンキー(2)







心が悲鳴をあげそうなのを、必死で堪えた。









「中原、そのファイルちょうだい」


「えーっと…はい」


あたしは彼が指差したファイルを取り、彼に渡した。
その際に、少しだけ触れる指。
心臓が跳ねるのを顔には出さないようにして、作業に戻った。

呼び出された理由は、生徒会室の掃除だった。
彼が常にいる生徒会室は、彼の私物と資料やプリントがあたりかまわず散らかってる状態。
中にはマンガやゲーム、トランプやらけん玉まである。
どうしたらこうなるのかわからない。


「ごめん、友達と約束してただろ?」


「大丈夫、もう慣れたもん。」


そう言って笑ってみせる。

嘘つき。
いつもドキドキしてるくせに。
脈拍が早くなって、心臓が痛くて、呼吸が苦しい。
慣れることなんてできないよ。
後から後悔するのはいつものことだ。


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