そんな嬉しそうな笑顔を見せられたらあたしはモヤモヤしていたことを忘れてしまうくらいで
気付いたらあたしも彼に笑顔を向けていた。
「でもいいの?一ノ瀬くんにバレちゃって?」
「全然問題ないよ!
むしろ自分から言わずに済んだし、これでみんなが話してる時に
俺もこの間立花とどこ行ったー!って自慢できるしねっ!」
こんな風に言ってくれるってことはあたしと付き合ってることを言いたくなかった訳じゃないってことを再確認できて良かった。
そしてあたしたちは人がまばらになってきたところにシートを引いて二人で座った。
それから七瀬くんと他愛ない話をしながら待っていると
ヒューと音を立てて細い線を書くように空に向かって上がって……
大きくて丸い赤い花火がバンッ!と音を立てて広がった。
そして周りで歓声が上がるとその花火は暗闇に消えて行った。

