観覧車

と、口パクでとんでもないことを言っていた。そういえば、晃は中学のときもあんなカワイイ顔をしてても、意外と腹黒いことを言っていたなと思いだした。恐るべし晃…
「あれっ、そういえば拓人もビール全然飲んでないじゃん。てか、一口も飲んでないよね?」
拓人のグラスに注がれていたビールが1ミリも減っていないのに気づくと、拓人はユデダコのように真っ赤にしながら、
「実は俺さ…お酒飲めないんだ…」
んっ!?今何て言った?僕がピタリと固まると、拓人は今度は少しキレながら、
「だっ、だから…俺はお酒が飲めないんだ…」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
みんな息ピッタリとえぇ!?の合唱をした。だって、卒業式に「俺、20歳になったら、ジョッキのビールを飲んでみせる!!」と宣言したあの拓人がだよ!?そりゃ、驚くわ。晃が拓人に恐る恐る
「なんでお酒飲めないの?」
と聞いてみると
「俺さ、この前会社の上司の付き合いで、飲みに行ったわけよ。」
「ふむふむ」
「いやぁ、上司が高価なワインを奢ってくれて、勢いよく飲んだら…」
「飲んだら?」
「すぐ、寝ちまったんだよ…」
飲んだらすぐ寝てしまった…一番飲めそうな拓人が寝たって。ちょっとおもしろいかも。
「拓人って、一番、お酒が飲めそうなのに飲めないっておもしろいね!」
晃に僕の心を見透かされたかのように同じことを考えていたので、正直、ゾクッとした。