どんな女が言い寄ってきたってウザいとか鬱陶しいとしか思えなかった。


でも違う。
夏樹だけは、女なのに思わない。


近くに置いておきたいと願っている自分がいる。

いずれは嫁に出て好きな相手と新しい家族を作る。
その時、僕は笑って見送る事が出来るのだろうか。




「お兄ちゃん」

「ん?」

「英語教えてよ」

「何処が分からないの?」


こうして傍に居られるようになったのも親が再婚してめぐりあったからで
それがなければ、一人の生徒と一人の教師のままだった。

こんな感情も、こんな思い出も、こんな彼女の笑顔も見る事も出来ずに。



「やっぱ先生がお兄ちゃんって言うのはありがたいわ」

「良く言うよ。最初は嫌がってたくせに」

「私も成長したってことかな」




――僕は決して、