幸福の花 ~夏~

瞼を開けるといつの間にか、祖母の家に到着していた。

「今日はもう遅いから、山は明日ね」

母はそう言いながら荷物をトランクから出していく。

確かに太陽は西に傾いていた。

私は久しぶりに会う祖母に挨拶をし、祖父の写真が置かれた仏壇で手を合わせた。

夕食まで時間があったので、近所を散策することにした。

なつかしい。

この川、よく遊んだな。

山に近いこの町は子供が少ないが、夏休みなんかには子づれで帰郷する家族が多い。

だからその間だけの友達がたくさんいた。

名前も知らず遊ぶこともあった。

でも、今でも友達のヤツもいる。