幸福の花 ~夏~

あまりの唐突さにあせりつつ、簡単に部屋を片付け、急いで出る。

服装は時間が無かったから、ラフなパーカとズボン。

自転車に乗って最寄の駅へ向かう。

頬を夏の心地よい夜風が撫でていく。

駅に着くと、すぐに電車が来た。

ラッキー。だけど、時計を見て愕然とした。

ギリギリ、リョウタの到着に間に合わない。


あのやろう、全力で急いで間に合わない時間に連絡しやがった。


彼氏を『あのやろう』呼ばわりするのは、流石に酷いかもしれないが、むかついたので仕方ない。

まあ、こうして振り回されるのも、リョウタに会えてこそなのだけれど。