幸福の花 ~夏~

「もうすぐ名古屋駅着く」

「…は?」

「あれ、俺、帰省するって伝えてなかったっけ?」

「めっちゃ初耳だわ」

やっと連絡できたと思えば、帰ってくるとは…なんというヤツだ。

「え、ごめん、まぁいいや」

よくない。

「とりあえず、美佐子の部屋とめさしてくんない?親、俺が帰るの忘れて旅行行ってるんだわ」

お前が伝え忘れたんじゃないのか。

「あと、話もあるし」

もう、ため息が出そうだ。

「…で、あとどれくらい?」

「30分くらい?」

「お願いだからもっと早く言ってくれない?!」