期待はあったけれど、いまさら蓮に話しかける気にもなかなかなれなかった。

だって、もう、私は諦めた。

それに、心のどこかで、蓮が話しかけてくれればいいのにとも思っていた。


だけど、私も、

話しかければよかった。


ぼんやりと浮かんだ自分の思いに疑問を感じた。

『話しかければよかった』?

それを思ったのは、今だけじゃないよね?

蓮が転校する日。

蓮が転入してきた日。

決意をして教室に入った日。

それに、たしか蓮が転入してきたあの日、蓮は私に話しかけた。

それに気づかなかったのは私…


そうか。私、ずっと逃げてたんだ。