幸福の花 ~夏~

帰宅後も、私は蓮のことを考えていた。

『あ』

そう声を発したときの蓮の表情が、頭から離れないでいたのだ。

あの、驚いたような、安心したような、不思議な表情。

蓮は、私のことを覚えているのだろうか。

帰り際に、蓮は何を言おうとしたんだろう。

「気になる…」

思わず独り言がこぼれた。

というか、私がぼさっとしていなければ、全てわかっていただろうに。

あまりの鈍くささに、自分で呆れてしまう。

でも、蓮の気持ちを知りたい。

決意のような気持ちを胸に顔をあげると、蓮がくれたクマと目が合った。