しかし、どれだけ引きちぎっても花が減ることはなかった。

それどころか物凄いスピードで成長し、増えていく。

「消えろ…消えろよ…!」

私はまだ引きちぎる。

花は増える。

声も大きくなる。

たまらず私はその場にしゃがみこんだ。

耳をふさぎ目を瞑る。

それでも花が増えるのは解ったし、声もさらに大きくなった。

「嫌だ…嫌だよ」

もう、嫌だ。

クロユリなんてなくなればいいんだ。