気がつくと私は山にいた。

私の周りにたくさんのクロユリが咲いていて、その向こうには私を嘲笑い、哀れんだやつらがいた。

だんだん声が聞こえてきた。


「『呪い』だって。可哀想だね」

「お前呪われてんだろ」

「私そんな名前じゃなくてよかった」

「おい、こっち来んなよ。俺まで呪われるだろ」

「これからはクロユリちゃんってよぼうか?」

「クスクス…酷い名前…」


やめてくれ、私は『呪い』じゃない。

足元のクロユリが目にとまる。

「こんな花…こんな花なんかっ…」

私は足元の花々をひたすら引きちぎった。

花弁が舞う。