幸福の花 ~夏~

「また悠太?てかなんでおばあちゃん家あがってんの?」

「また悠太って…ひっど。うちの爺さんが野菜もってけってさ。畑のやつ持ってきた」

確かに悠太は野菜の入った段ボールを抱えていた。

「ああ。爺ちゃん頑張ってるね」

「もう年のはずなんだけど…て、お前、捻挫したんだって?」

悠太は私の右足首を見ながら言った。

「うん。別に大した事ないと思うけど、山は登れないかな」

「そっか。クロユリ見れなくて残念だな」

「いや、別に…」

「ふーん…まぁ、大した事なくてよかったな!」

正直クロユリは本当にどうでもよかったのだが、悠太の笑顔がまぶしい。

悠太は野菜を母に渡すと、

「また遊びに来るからな!」と言って帰って行った。