幸福の花 ~夏~

次の日。

私は両親と山に登りだした。

しかし、山の中腹あたりで雲行きが怪しくなってきた。

「雨降りそうね」

しばらくすると、母の予想通りぱらぱらと雫が落ちる。

しかもだんだん大粒になってきた。

「仕方ない。明日また登るか」

父につづいて下山をしていく。

(明日また、か)

憂鬱な気持ちが長引きそうだ。

黙々と山を下る。

最後のほうの少し急なくだり坂まできた。

すでに父と母は少し先で私を見守っていた。

ぬかるみに気をつけながら歩く。

しかし。


ズルっ


嫌な音がした。