「お父さん……お父さん………っ!!」

「め、い……。

楽しかった………ですね。

一緒に過ごし……た、久しぶりの…………夏休み……。

お父さん、とっても………嬉……か、た………です」

「お父さん!喋らないで!!空気が漏れちゃう!!!」


私は、お父さんの体の穴を、手で覆って塞ぐ。


「もう、駄目ですよ………」

「そんな事ない!

駄目じゃない!!

このままでいる方が、駄目だよ!!

また私が、お父さんを殺しちゃうじゃない!!!」


もうあんな想いをするのは嫌だ。

10年前みたいな事が起こるのは嫌だ。

浮き輪の体でもいい、お父さんと一緒にいたい。


「無理なんです……」

「無理じゃない!!」


そんな事を言っている間にも、空気は漏れ続ける。

お父さんの体が、ヘナヘナと力なく萎んでいく。