「めいの事を悪く言うな!!!

僕の悪口はまだしも、めいの悪口は許さない!!!」


いつもの丁寧口調でもない、

いつものワタクシという一人称でもない…。


怒ったら、そうなってしまう癖なのだろうか。


あれ、何かそれ、誰かと似てる………?

私の知っている、誰かと…。


「ハッ、何だ、この浮き輪ぁ。

まるで、笠原の父親みたいな事を言いやがって」


父、親……お、父さん…………………。

お父さん?


そうだ、怒ったら口調が変わって、一人称が僕になってしまうのって、死んだお父さんの癖だ。


だけど、何故だろう。

全く違うのに、ウワキとお父さんは違うのに、似ているのは癖だけなのに。


なのに、ウワキがお父さんに見える。

私、もうやばいのかな。

アハハ……ウワキがお父さんなわけ、ないのにさ………。


そう思ったときだった。


「嗚呼、そうだ。

僕はめいの父親の、笠原透だ」


ウワキは、確かにそう言った。