ファーストキスは浮き輪でした。

「うぐ………。

ひ、酷いです、非道いです………!

皆さん、ワタクシの事をそんな、穴が開いて使えなくなってしまった浮き輪を見る目で見て……。


もう、ワタクシ、耐えられませぬっっ!!!!」

「あっ…!ウワキ…」


私が声を掛けた頃には、もう遅かった。


ウワキは、手がないからって、体当たりして扉を開け、飛び出した。

いや、正確には、飛び出そうとして、失敗した。


私の部屋の扉、スライド式なのだ。


だから、体当たりしても開かず、結局、ゴカッドベベッドキャションッ!!!という音が響いて、

ウワキのおでこ(ないけど)にたんこぶ(浮き輪にできるのか?)ができただけだった。


ウワキは目(ないけど)に涙(だから涙腺はどこにあるんだよ)を浮かべている。


「うわああああああああん!!」


ウワキは、今度こそスライド式の扉をちゃんとスライディングさせて、

私の部屋を飛び出した。