爽さんのシャツの裾が風でなびく。髪が揺れる。
「…俺」
次の一瞬で、すべてが壊れた。
「汐莉と、結婚しようと思う」
割れた。破れた。壊れた。崩れた。
それは重い。ものすごく重い。だから、それはいろいろなものを一瞬で破壊した。
「けっこ、ん…」
「…ごめん、ほんっと言ってることめちゃくちゃだよな」
なんだかもう訳がわからない。
涙だけが止まらない。
海が綺麗な群青色に染まっては、現実からあたしを引き抜こうとする。
回転し続ける頭を止めて、ぼやけさせようとする。
それでもあたしは知っている。
今ここで起きていることは、全て現実だ。

