言葉を、ひとつひとつ咀嚼しながら、耳を傾けた。
『付き合っててもいいことばっかじゃねーよ』
爽さんの言葉が重くのしかかる。
知らなかった。
爽はいつだって強くて明るい爽さんなんだと思ってた。
汐莉さんのことだって、誰もがうらやむ、悩み事ひとつないカップルだとばかり。
あたしのこと、一緒にいると楽しいって、ラクだって言ってくれた。
どうしよう、嬉しい。泣きそうだ。
「爽さん」
月明かりは心許ない。ほんのりと暗さを和らげるばかり。
もう、言わずにはいられない。
溜め込んだ想いを吐き出さない術はない。
涙が溢れてしまった。
「あたしも、爽さんが好きです」
伝えることは叶わないと思ってた。
あたしの恋はあたしの中にしまわれて、淋しく消えてゆくのだと。
言葉にすれば、たった二文字。
その中に、あたしの全身全霊が込もっている。

