海に到着して、まずはお昼ごはんのバーベキューということになった。


「お肉確保してきたよー」

ちょこちょこと駆け寄ってきた汐莉さんの手には、いい色に焼けたお肉が山盛りになったお皿がある。

人数が多いため、なんでも早い者勝ちなのだ。うかうかしてると肉なんぞすぐになくなってしまう。


「でかした!」

爽さんはそこから大きなひと切れをつまんで頬張った。

「もー、ちゃんとお箸を使いなさい」

「はいはい」


バスの中とは立場が逆転だ。今度は汐莉さんが爽さんをコドモ扱いしている。


「なっちゃんも空実ちゃんもどうぞ」

「ありがとうございます」

「いただきまーす」


どうして汐莉さんはこんなにいい人なのだろう。

どうしてあたしの胸は、汐莉さんがいい人である度チクリと痛むのだろう。