…ああ、やっぱり無理だ。たかだか一ヶ月会わないくらいで、気持ちは変わらない。


「あははっ、爽さんコドモー」


むしろ、強くなるくらいだ。

一度抑えつけた反動で、それは伸びやかに膨張する。


二泊三日。こんなに近くにいていいのだろうか。

こんなにも爽さんへの気持ちを自覚した今、あまりに傍にいたら……


「ばーか!こういうのは楽しんだもん勝ちなんだよ!」


にいっと笑った口から、白い歯が覗く。

そしてそのまま砂浜を波打ち際に向かって駆け出した。


……あまりに傍にいたら、あたしは何らかの形で、凪のないこの関係を、壊してしまうかもしれない。

ほんの些細なうっかりで、例えばそう、硝子のコップを割ってしまう愚かさと不注意を持って。