あたしには、3個上の兄がいる。
今は大学の寮で暮らしていて、もう半年近く会っていない。
お母さんはあたしよりもお兄ちゃんのほうを可愛がってる。
一番にお母さんのお腹から生まれてきたから、というのもあるだろうけど、一番大きな理由は、
＂あたしが出来損ないだから＂
何かあればすぐお兄ちゃんとあたしを比べ、そのたびに否定される。
まだあたしが小学生だったころ、テストで
98点をとったことをお母さんに伝えようとした。
先にお兄ちゃんのテスト、そのあとにあたしのテストを見たお母さんは、投げ捨てるようにこう言った。

｢ひまりとお兄ちゃんじゃやっぱり出来が違うのね｣

ショックだった。
お兄ちゃんは満点でも98点なんて点数、滅多にとれないのに…。
絶対褒められると思っていたあたしは、お母さんに言われた一言が大きく胸に刺さった。
お兄ちゃんとあたしは出来が違う…
大きくなるにつれ、意味を理解し始めたあたしにはその言葉が余計に心を傷つけた。