ピピピピピピ カチッ

「ん~……もう朝かあ。学校だる…」

あたしは、齋藤 ひまり。
私立桜ヶ丘高等学校に通う、高校2年生。

「ひまりー?起きた?ご飯できてるからおりてきなさい」
下からお母さんに呼ばれる。
お弁当のいい匂いが2階の部屋まで届いていた。
カーテンを開けると、白い雲がところどころに浮かんでいた。
快晴に近い、いい天気だ。
あたしは見入るように、しばらく空を見つめていた。

着替えを済ませ、急ぎ足で階段をおりるとお母さんがちょうど呼びに来るところだった。
「なんでもっと早く来ないの。遅刻するわよ」
「大丈夫だよ」
「髪の毛だって、メイクだってするんでしょ?」
「うるさいなぁ。大丈夫だって言ってんじゃん。朝からグチグチ言わないでよ」
少し睨みつけるように言うと、お母さんは呆れるように、
「なんで兄妹でこうも違うのかしらね」
と、愚痴をこぼしながら階段をおりていった。